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法律のお話し① 【 携帯電話と残業代 】
【 携帯電話と残業代 】
■ 従業員に会社の携帯電話を持たせて,休日などの就業時間外にかかってくる電話に対応させている場合,この従業員に対して,就 業時間外の携帯電話を持たせている時間についても,時間外手当(残業代)を支払わなければな らないのでしょうか。
■ この問題では,就業時間外の携帯電話を持たせている時間が,「労働時間」に該当するかが問題となります。
「労働時間」というのは,労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間のことをいいます。
そのため,従業員に「就業時間外の携帯電話を持たせている時間」が,労働から解放されておらず,使用者の指 揮命令下におかれているといえるような場合は,「労働時間」に該当し,時間外手当を支払う必要があるということになります。
従って,単に携帯電話を持たせているだけで,実際に電話がかかってくることが皆無であれば,労働者は場所的にも拘束されておらず,何か具体的な対応をする必要もないことから「就業時間外の携帯電話を持たせている時間」は,労働から解放されており,使用者の指揮命令下におかれていないと評価でき,「労働時間」には該当せず,時間外手当を支払う必要はないということになる可能性が高いと思います。
しかし,実際にある程度電話がかかってきて,その電話に対してある程度対応が必要にるような場合であれば,電話がかかってくる頻度,電話がかかってきた際の具体的な対応状況等にもよりますが,労働者は労働から解放されておらず,使用者の指揮命令下におかれていると評価され,「労働時間」に該当し,時間外手当を支払わなければならないという可能性は否定できません。
このようなことから,従業員に携帯電話を持たせて就業時間外の電話対応をしてもらう必要性があまりないような場合は,従業員時間外の電話対応をしなくてもよいということを明らかにしておいた方がよいと思います。
反対に就業時間外の電話対応をしてもらう具体的な必要性がある場合についても,電話対応が必要な時間帯,かかってきた電話に対する具体的な対応方法など,会社が従業員に求める対応について具体的に規定したり,具体的に指示をしたりしておいた方がよいように思います。そして,それにより従業員にかかる負担の程度に応じた手当等の支払いを行うという態勢も整えておいた方がよいと思います。 以上