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法律のお話し④【取締役と会社との取引】


■(事例)
会社が,取締役から取締役所有のビルを譲り受けたが,その際,会社が時価よりもかなり高額な価格でそのビルを買い受けていた場合の問題点について

■(本文)
このような取引は,利益相反取引に該当することになります(会356条1項2号3号)。
利益相反取引には,取締役が会社から財産を譲り受けたり,金銭を借りたりする場合などの直接取引(会356条1項2号)や会社が取締役の債務を保証する場合などの間接取引(会35条1項3号)があります。
このような利益相反取引については,取締役が会社の利益を犠牲にして取締役自身の利益を図るおそれがあるため,株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の承認が必要とされています(会356条1項2号3号,365条)。

株主総会(取締役会)の承認がある場合,当該利益相反取引は有効となります。もっとも,会社に損害が発生している場合,取締役は,任務懈怠責任として損害賠償責任を負うことになります(会423条1項,3項)。
株主総会(取締役会)の承認がない場合,当該利益相反取引は,原則として無効となります(会社は,利益相反取引をした取締役に対しては当然に無効を主張できますが,第三者に無効を主張するには,当該取引が利益相反取引にあたり,株主総会(取締役会)の承認がなかったことについて,第三者が悪意であったことを立証する必要があります)。
そして,会社に損害が発生している場合,取締役は,任務懈怠責任として損害賠償責任を負うことになります(会423条1項,3項)。

以上から,事例のケースでは,
ビルの売買の効力については,株主総会(取締役会)の承認があれば有効,承認がなければ原則として無効となります。
そして,会社に損害が発生している場合,取締役は,損害賠償責任を負担することになります。

                                                  以上

2014年2月13日 9:42 - カテゴリー: 法律のお話し
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