TOPICS

法律のお話し⑤【任意後見制度について】


法律のお話し⑤【任意後見制度について】

■ X(60歳)は,現在自己所有の家に一人で住んでいます。特に認知症になっているわけではなく,判断能力に問題はありませんが,少し物忘れが気になってきており,足腰も弱ってきていることから,将来判断能力が不十分になった際は,自宅を売却して,そのお金を利用して老人ホーム等で面倒を見てもらいながら生きていきたいという希望を持っています。
このようなXのために,何かできることはないでしょうか。

■ 任意後見制度の利用を検討すべきです。
 簡単な内容は,前回の「成年後見制度の概要」に記載してあるとおりです。
 本件では,将来Xの判断能力が不十分になった場合には,現在住んでいる不動産を売却し,そのお金を使って老人ホーム等で生活をする,という内容を,予め契約をしておくことになります(任意後見契約,といいます。)。
具体的な流れを説明しますと,
①まず,具体的な契約内容を,公証役場にて任意後見契約の公正証書を作成します(登記もされます。)。
②その後,本人の判断能力が不十分になった段階で,本人や配偶者,4新親等内の親族又は任意後見契約受任者(本人と契約をした者です。)が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。
③任意後見監督人が選任された段階で,任意後見契約の効力が生じ,任意後見受任者が任意後見人となり,任意後見監督人の監督の下,本人と契約をした内容で,後見事務を行うことになります。
なお,任意後見監督人は,任意後見人の事務を監督し,家庭裁判所に定期的に報告をすることになります。

本件では,「Xの自宅を売却して,そのお金を利用して老人ホームで生活をする」などというのが任意後見契約の内容になりますので,任意後見人は,その契約内容に従って,実際にXの自宅を売却して,そのお金をつかって,Xを老人ホームに入所させることになります。こうして,Xの当初の希望が実現することになります。

以上

2014年2月19日 17:46 - カテゴリー: 法律のお話し
弁護士法人 カント
〒060-0061
札幌市中央区南1条西4丁目5番地1
大手町ビル8階
TEL:011-207-2830
FAX:011-207-2833
弁護士法人カント