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法律のお話し⑥【心裡留保】


心裡留保
Q 自動車販売会社と提携している信販会社が,自動車を購入したAとの間でクレジット契約書を取り交わした。後日Aに電話で同契約の確認をしたところ,Aは同契約について認めるような回答を述べた。しかし,後日,クレジット契約についてはAの友人BがAの名義を冒用して締結していたこと,及びAはBに車の名義人になることは頼まれていたがクレジット契約の借主になるつもりはなかったことが判明した。
信販会社はクレジット契約に基づきAに対し借入金の支払いを請求したが,Aはクレジット契約をしたつもりはなくクレジット契約は無効であると主張して支払いに応じないが信販会社は支払いを受けることができるか。

A できない可能性がある。
Aはクレジット契約の借主となる意思はなかったと述べるが,後日信販会社から契約締結意思の確認を受けてAはその意思がある旨の回答をしていることからすると,この段階でAのクレジット会社に対するクレジット契約締結の申込みがあったものと考えることができ,そうであるなら同契約は成立したと認められる可能性がある。
もっとも,同契約が成立していたとしても,Aには同契約の借主になる意思はなかったのであり,Aは真意でないことを知りながら同契約締結の申込みをしたことになるため,当該意思表示は心裡留保(民法93条)に該当する可能性がある。
心裡留保に該当すると認められた場合,相手方である信販会社が真意でないことを知り,又は知ることができた場合には,民法93条但書により同契約が無効となる可能性がある。
                                                       以上

2014年2月25日 14:04 - カテゴリー: 法律のお話し
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