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法律のお話⑬ 【会社が従業員の給与を支払えない場合】


■(事例)
今月中に回収予定だった売掛金が回収できず,資金繰りに困り,従業員に対する今月分の給与の支払いができないことから,給与の支払いを先延ばししようと考えているが,これは可能でしょうか。

■(本文)

労基法24条1項本文において,「賃金は,通貨で,直接労働者に,その全額を支払わなければならない。」とされており,賃金の「全額払の原則」などが規定されています。

また,労基法24条2項本文において,「賃金は,毎月1回以上,一定の期日を定めて支払わなければならない。」として,「毎月1回以上一定期日払の原則」が規定されています。
そして,その例外として,臨時に支払われる賃金,賞与の他,1カ月を超える期間についての精勤手当,勤続手当および能率手当とされている(労基法24条2項ただし書き,労基規則8条)。

これらの規定は,労働者の定期的な収入を確保し,その生活基盤の安定を確保しようとすることを目的としています。

本件の場合,労基法24条2項但し書き規定の「毎月1回以上一定期日払の原則」の例外のどれにも該当しないことから,従業員の給与の支払いを先延ばしすることは許されていません。
それにもかかわらず,従業員の給与の支払いを行わなかった場合,30万円以下の罰金に処せられることが規定されていますが(労基法120条1号),会社の経営状態などから不可抗力ともいえるような場合もあり,全ての給与の支払いの先延ばしが処罰されているというわけではありません。
                                     以上

2014年5月28日 11:44 - カテゴリー: 法律のお話し
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